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古紙四方山話

第59回 水

イザヤ ペンダサン著「日本人とユダヤ人」のなかで、「日本人は水と安全はタダだと思っている」とし、当時の日本人の“常識”に対し警鐘を鳴らしました。40年たって、日本人が日常的にコンビニで「ミネラルウォーター」を買う時代となり、意識もだいぶ変わってきました。少なくともタダではないという意識にはなっています。じゃー、世界の水の現状はどうなっているのだろうかという疑問に対して一つの答えが前回の話題「仮想水」を取りあげた同じナショナル ジオグラフィック誌4月号に出ていましたので、今回は古紙の話ではなく、「水」を再び取り上げてみます。


 その前にまず、地球の水の話。地球上の水の97.5%は塩水(海水を含む)で、残り2.5%が淡水。淡水の内、約7割が雪と氷という形で凍っていて、残りの地表水と地下水はごくわずかだそうです。つまり、地球の水全体の1%足らずが利用できる淡水です。量にすると3京5020兆立方メートルといわれています。数字を挙げれば普通はイメージが湧くものですが、「京」の世界では全くピンときません。

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第58回 仮想水

普段の生活に用いられる食品や日用品は、それらの商品を生産するために多量の水を消費しています。日頃の私たちの暮らしのなかでは見えませんが、間接的に消費しているそれらの水は仮想水(Virtual Water)と呼ばれています。 
ナショナル ジオグラフィック誌の最新号(2010年4月号)には、身近な食品や日用品の仮想水の試算が載っています。


1.肉;1kgの生産に必要な仮想水。家畜が飲む水、飼料栽培のための水、飼育場の清掃用の水が含まれる。


15,497 ℓ 牛肉
6,309 ℓ  豚肉
3,918 ℓ  鶏肉


2.畜産物・加工品;1kgの生産に必要な仮想水。家畜の飼育用、食品加工用の水が含まれる。


11,535 ℓ  ソーセージ
4,914 ℓ  プロセスチーズ
3,340 ℓ  鶏卵
1,151 ℓ  ヨーグルト

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第55回 紙の特徴(紙はどのくらいの水を吸うか)

王子製紙は昨年「紙の知識100」という本を上梓しました。その中にこれまでの「紙」に関する本とはちょっと違った視点で紙の特徴について述べた箇所がありましたので、ご紹介しましょう。題して、「紙はどのくらいの水を吸うか」です。以下、しばらく引用してみます。


「生活の中で利用されている、ティッシュ、トイレットペーパー、キッチンタオルなどの紙。これらの多くに、パルプの優れた吸水特性が利用されています。
いまは目にすることもなくなりましたが、特に吸水性を高めた紙として『吸い取り紙』というペン書きインキを吸い取るものもありました。
では、紙はどのくらいの水を吸うことができるのでしょうか。
乾燥した紙を平均的気候条件(気温20℃、湿度65%程度)の部屋に長時間置くと、紙の水分は約9%で落ち着きます(平衡水分といいます)。
例えばティッシュは、紙から水が垂れ落ちない限界としてざっと90%まで水分をふくむことが可能です。紙は最初から約9%の水を含んでいますので、100gのティッシュのうち乾燥している部分は91gであり、これが水分を90%含んだ状態になるとティッシュは910gになります。100gのティッシュが水を819g吸収したわけで、つまり、ティッシュはもとの重さの約8倍程度の水を吸い取ることができるわけです。」

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第50回 牛乳パック

前回の「四方山話」でリサイクルマークのなかに牛乳パック再利用マークがありました。これは、牛乳パックをリサイクルして作られた商品についているマークですが、土星を思わせるような印象的なマークでした。


 牛乳パックに代表される紙製飲料容器(紙パック)の紙は、ほとんどが北米及び北欧の針葉樹を原料として作られています。植林しても100年以上たたないと成林にならない貴重な資源です。ただし、原料として利用するのは、スプルース、パイン等の針葉樹を建築材等の製材や合板用にカットした後の廃材部分で、それを木材チップ(Woodchip)にし、製紙原料として利用します。どうして針葉樹かというと、針葉樹の方が広葉樹に比べて繊維が長く、紙製容器にした時にとても丈夫だからです。


紙パックの用途は全体の3分の2が牛乳用で、清涼飲料と果汁飲料用で全体の4分の1、他に発酵乳、酒用に用いられています。

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第48回 RPF(アールピーエフ)

「RPF(アールピーエフ)と言われてもなんのことだかわからない」という方に、これも多いに古紙が関わっているんです、というお話をします。


RPFを略さず書くとRefuse Paper and Plastic Fuel、直訳すると”廃棄紙とプラスティック燃料”となりますが、「古紙ハンドブック2008」によると、“RPFとは、基本的にマテリアルリサイクルが困難で従来焼却や埋め立て処分されていた古紙や廃プラスティックを主原料とし、適切に破砕・混合・成形した化石燃料代替の高品位な固形燃料である。”と定義されています。要は”古紙・廃プラの再生燃料”ですが、最近、製紙メーカーでは、この燃料を積極的に利用するため、大型ボイラーの設置が盛んです。


 製紙メーカーは、ここ10数年で使用する燃料の構成を大きく変えてきました。具体的には化石燃料、主に重油の比率を大幅に下げ、その代替として、再生可能エネルギーと廃棄物エネルギー(木屑やRPF)の使用比率を上げてきたのです。

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第47回 禁忌品(きんきひん)

 古紙問屋にとって、古紙の品質管理は最も重要な仕事の一つです。営業所内で古紙の山から禁忌品を選別する作業は古紙問屋としての生命線であり、従業員はこの夏の酷暑のなかでも黙々と選り分け作業を行っています。
「禁忌品(きんきひん)」という言葉、この業界では馴染みの用語ですが、一般的には「何それ?」と、思われる方が多いでしょう。
(財)古紙再生促進センターが規定する古紙標準品質規格で禁忌品について解説していますので、ご紹介しましょう。


○禁忌品
禁忌品はA類とB類に区分する。


A類:製紙原料とは無縁な異物、並びに混入によって重大な障害を生ずるもので次のものをいう。
1) 石、ガラス、金もの、土砂、木片等
2) プラスチック類
3) 樹脂含浸紙、硫酸紙、布類
4) ターポリン紙、ロウ紙、石こうボード等の建材
5) 捺染紙、感熱性発泡紙、合成紙、不織布
6) 芳香紙、強い臭いのついた紙
7) 医療関係機関等において感染性廃棄物と接触した紙
8) その他工程或いは製品にいちじるしい障害を与えるもの

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第46回 古紙の製紙原料以外の用途

 製紙原料以外に古紙は主に何に使われているのでしょうか。昭和の時代であれば、例えば新聞古紙は主にリンゴの果実袋として、また、八百屋さん、魚屋さんの野菜や魚を包む材料として利用していましたが、現在は役割に応じて、それぞれに相応しい包装材料が開発されてきており、従来のような使われ方はしていません。ここでは皆さんがよくご存じの商品および古紙から何らかの方法で繊維を取り出し、天然繊維としての機能を生かした新しい商品作りの取組をご紹介しましょう。


1.パルプモールド
 古紙を水で溶かし金網で抄き上げた後、乾燥してできる紙成形品。製法の違いで「ソフトモールド」と「ハードモールド」の2種類がある。
  1.ソフトモールド;製品の厚さ1mm-3mm程度で、鶏卵用トレー・青果物トレー、工業製品の梱包材などに使用。普段スーパーなどでよく見かけますね。
  2.ハードモールド;製品の厚さ10mm以上、重量物の固定材として使用。


2.セルロースファイバー
 主に寒冷地の住宅用断熱材として利用されている。新聞古紙を乾式で綿状に粉砕し、防燃性、はっ水性を与えたもの。工法は、住宅の天井・壁・床下に、専用機械で吹き込むもので、天然繊維の「吸放湿性」により断熱材内部での結露を防止し、吸音性、遮音性に優れている。
*王子製紙グループでは王子製袋株式会社が、「住宅用断熱材(ダンパック)」として販売しています。


3.法面種子吹付け養生材
 古紙を粉砕ないし線状に裁断したものに種子を混ぜたもの。これを道路等の法面に吹付け、法面をマット状に被覆する。このマット状被覆層が法面を風雨から保護すると同時に、種子の発芽育成を助成する。古紙は時間の経過と共に水等により分解され、土に還元されるが、発芽した植物がこの間成長するため、この成長した植物が古紙に換り法面を保護する。
*王子製紙グループでは、王子木材緑化株式会社がこの吹付け養生材を王子航空緑化工法に利用し、長年の実績を誇っています。

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