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古紙四方山話

第61回 古紙の回収率 NO.2

古紙の回収率2007-7-17に、「第4回 古紙の回収率」で取り上げましたが早3年が経過し資料として最新の回収率を載せるべきと考え再度取り上げました。


註:古紙の回収率とは「国内で消費された紙・板紙重量のうち製紙原料として回収された古紙重量」と(財)古紙再生促進センターでは定義しています。





1961年から現在までの古紙回収を一言で言えば、2000年までは国内製紙メーカーの古紙処理設備の増強に沿って概ね回収量が増えてきたものの、2001年以降は中国を中心とした輸出市場が急速に拡大したため、国内古紙は買い手市場から売り手市場に構造変化を遂げたといえます。

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第60回 ドイツの容器包装リサイクル

 ドイツの2008年一人当たりの紙の消費量は247kgと、日本(241kg)を若干上回る紙消費国です。そのドイツでは日本も手本(「廃棄物処理法」1993年)にした容器包装リサイクルシステムが出来上がっています。今回はそのドイツのリサイクルの仕組みをご紹介しましょう。


 高度成長期のドイツはゴミ回収が地方自治体に丸投げされ、どこの都市でも大量のゴミの山とその処分場に苦慮してきました。この問題解決のためにドイツは「包装廃棄物の発生抑止に関する政令」(1991年)を制定し、法的拘束力を持つ包装容器の回収システムをつくりだしました。この政令については、製造者の回収責任を明示したことが決定的に重要でした。企業側でも、エコロジーを無視しては経済活動ができない時代になったことを認識するようになってきました。

 製造業者は包装容器を回収する義務を負いましたが、業者みずから回収業務を行うのではなく、それを代行するDSD社という会社を設立しました。

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第57回 紙の消費減少

 古紙問屋の立場からみると古紙は商品そのものです。その商品の発生が最近ジワジワと減っています。2009年、古紙回収率は79.7%と過去最高を記録しましたが、古紙回収量は21.6百万トンと回収量が最高だった2007年23.3百万トンを7.2%下回り、2004年(21.5百万トン)のレベルまで下がりました。


 古紙の回収量は、国内で消費される紙の量、つまり、紙板紙の内需の影響を受けます。その国内の紙板紙需要は2007年(31.9百万トン)から下がり始め、世界同時不況の大波を受けた2008年から2009年にかけて大きく落ち込み、その流れがとまらず今日まできています。
日本製紙連合会がこの1月に纏めた2010年紙板紙内需試算を見ても27.6百万トンと2009年から微減の予想です。
品種ごとの傾向をみると紙では新聞用紙と印刷情報用紙が2007年から減少傾向が続いてとまりません。新聞と出版に何が起こっているのでしょうか。


 この一年間の需要動向について、特に、新聞・出版に関係する本・雑誌が立て続けに出版されています。その中で本稿に関わるところをご紹介します。


「新聞・TVが消える日」猪熊建夫著 集英社新書(2009年2月)
・著者は、今日の電子メールやブログの隆盛から、若者や青年を「活字離れ」「文字離れ」と決めつけるのはやめたほうがいいとし、新聞、本、雑誌からの「紙離れ」が正解としている。

  
「2011年 新聞・テレビ消滅」佐々木俊尚著 文春新書(2009年7月)
・著者が、2008年からアメリカで始まった新聞業界の地滑り的な崩壊は、3年遅れの2011年、日本でも起きる、と予言。その崩壊とは、米国の新聞業界が得ていた年間160億ドル(1.4兆円)の広告費が2004年からものすごい勢いでインターネットの無料広告に浸食されてきており、この無料広告が米国の新聞業界を破滅に追いやろうとしている、と指摘。

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第56回 食べられる紙

以前、中国の露天商が、段ボールを挽肉に混ぜて肉まんとして売っていたというニュースがありました。これは、段ボールを苛性ソーダで溶かして騙して食べさせたということですが、今回の話はそうではありません。他に食べ物がなくて仕方なく、というお話です。


以前ご紹介した紙の博物館編「紙のなんでも小事典」に「食べられる紙」と題して人間がその昔、紙を食べたという記録が紹介されています。


江戸時代後期、ペリーが浦賀に現れる少し前まで活躍した佐藤信淵(さとうのぶひろ) という学者が1827年に著した経済書『経済要録』の中で述べたものです。以下、引用します。

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第54回 欧州製紙連合会(CEPI)

世界の製紙産業のなかでヨーロッパ全体を包含した資料がないかと探していましたら、(財)古紙再生促進センター会報の2009年11月号にその一端を窺える資料が掲載されていましたので紹介します。



欧州製紙連合会(Confederation of European Paper Industries;CEPI)は現在18カ国で構成されており、加盟国の人口は469百万人(国際連合2008年版人口推計)となっています。:ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、スペイン、ポーランド、ルーマニア、オランダ、ポルトガル、ベルギー、チェコ、ハンガリー、スウェーデン、オーストリア、スイス、スロバキア、フィンランド、ノルウェー、(人口順)
欧州連合(EU)は現在27カ国ですからヨーロッパ全体を表したことにはなりませんが、CEPI加盟国以外は製紙産業があまり発達していないのではないか、と考えています。


さて、CEPIが発表した紙・板紙及び古紙の生産量・消費量の実績を表-1に掲げました。


紙・板紙及び古紙の生産量・消費量の実績

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第52回 2009年の紙・板紙生産量

 日本の紙板紙生産量は、今年10月までの速報値から予測すると、年間(暦年)、26百万トン程度となり、対前年比85%にとどまる可能性が高くなってきました。26百万トンというレベルは20年前と同じで、30百万トンを下回るのは12年振りとなります。10月までの実績を見ると、紙の部門では特に塗工紙部門の落ち込みが大きく(前年同期比74%)、その製品である新聞折り込み広告チラシ減少に繋がっています。

 主に包装用に用いられる板紙は景気の後退を受け需要が減った分生産が落ち込んだと見ています。


表
註:2009年は1月-10月までが実績、11月12月は予測値を使用。


 26百万トンを需要量とし日本の人口127百万人で除してみると一人当たり205kg/年となります。第1回の四方山話でお話した2000年249kg、2005年246kgから比較してみると2割弱の落込みですが、日本人の新聞、活字離れが顕著となり、景気回復の目途が立たない現状では、一人当たり年間の紙板紙消費量は当分200kgのレベルに落ち着くと考えるのが自然でしょう。


 さて、今年の古紙の発生はどの程度落ち込むと予想すべきでしょうか。10月までの実績から推定して、古紙回収量は2008年実績22.7百万トン(回収率75.1%)に対して、2009年21百万トン(回収率80%)と、紙板紙生産量の落ち込みに比較して回収量は1.7百万トン程度の落込みにとどまり、回収率は80%に達する可能性が高いと推定しています。
 古紙輸出量は前回の四方山話で480万トンと予想しましたが、国内メーカーの消費増が見込めない分輸出が更に増え、限りなく5百万トンに近くなるものと考えられます。

第51回 日本からの古紙輸出

 2009年、日本からの古紙輸出量は過去最大の4.8百万トン程度になるものとみられます。振り返ってみると2001年、中国の紙生産に勢いがつき始めた頃から日本の古紙輸出が本格的に始まりました。当時、国内製紙メーカーには十分な需要がなく、古紙価格は歴史的な低レベルにあり、古紙問屋の立場として古紙輸出を真剣に検討していました。
 中国への輸出がその先鞭をつけました。図の如く2008年を除いて今日まで主に中国を中心に古紙輸出量は驚異的な伸びを示しています。


表


 2009年9月までの輸出量は3,820千トン、10月から3カ月間を9月並みの335千トンとすると約4,800千トンとなります。
 今年輸出されている古紙を種類別に見るとは段ボール49%、雑誌23%、新聞13%、上物3%、他12%となっており、段ボール原紙用の古紙が約半分を占めています。


 また、日本の古紙は、今や、北は石狩から南は沖縄まで全国津々浦々の港から輸出されています。多い順に比率で表すと東京(45%)横浜(8%)の関東圏からの輸出が53%を占め、それに大阪(9%)神戸(10%)の関西圏で19%、それに名古屋7%、博多6%、となっており、6大港合計で85%を占めています。


 輸出先は中国(87%)、タイ(7%)で全体の94%を占め、他は台湾、ベトナム、韓国、フィリピン、インドネシアと続いています。今のところ中国の動向次第で輸出数量が左右される状況が続いています。


古紙の品質は、元々日本の製紙原料として、製紙メーカーの厳しい品質要求に応える形で進展してきました。中国の製紙メーカーにとって選別がしっかりしている日本の古紙に対する需要はますます大きくなるものと考えられます。

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