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第47回 禁忌品(きんきひん)

 古紙問屋にとって、古紙の品質管理は最も重要な仕事の一つです。営業所内で古紙の山から禁忌品を選別する作業は古紙問屋としての生命線であり、従業員はこの夏の酷暑のなかでも黙々と選り分け作業を行っています。
「禁忌品(きんきひん)」という言葉、この業界では馴染みの用語ですが、一般的には「何それ?」と、思われる方が多いでしょう。
(財)古紙再生促進センターが規定する古紙標準品質規格で禁忌品について解説していますので、ご紹介しましょう。


○禁忌品
禁忌品はA類とB類に区分する。


A類:製紙原料とは無縁な異物、並びに混入によって重大な障害を生ずるもので次のものをいう。
1) 石、ガラス、金もの、土砂、木片等
2) プラスチック類
3) 樹脂含浸紙、硫酸紙、布類
4) ターポリン紙、ロウ紙、石こうボード等の建材
5) 捺染紙、感熱性発泡紙、合成紙、不織布
6) 芳香紙、強い臭いのついた紙
7) 医療関係機関等において感染性廃棄物と接触した紙
8) その他工程或いは製品にいちじるしい障害を与えるもの

B類:製紙原料に混入することは好ましくないもので次のものをいう。
1) カーボン紙
2)ノーカーボン紙
3) ビニール及びポリエチレン等の樹脂コーティング紙、ラミネート紙
4) 粘着テープ(但し、段ボールの場合、禁忌品としない。)
5) 感熱紙
6) その他製紙原料として不適当なもの


A類の石等は、万が一紛れ込んでも製紙メーカーの設備で対応して系外にはじきだされるケースが多いのですが、「捺染紙」「感熱性発泡紙」「強い臭いのついた紙」といった同じ紙類は、系外にはじき出されず、それが一枚でも混入すると製紙メーカーの操業現場で大きなトラブルを引き起こします。


最近、業界で話題になっている、この3種類の紙について、少し解説します。
(参考文献;「古紙の品質を守るために」(財)古紙再生促進センター)


・捺染紙(なつせんし)

昇華(固体が液体にならずに気化してしまう現象)型の分散染料を含有したインキで印刷された捺染紙(昇華転写紙)が古紙に混入すると、洗浄・漂白しても染料を取り除くことができないため、板紙(通常7-8層抄き)の中間層の原料に用いたとしても、製品の出荷時点では、不良品かどうかの判断がつきません。
印刷時に昇華性の染料が溶剤に反応したり、又は、経時変化(1-数ヶ月)でインキが昇華し続け、何ヶ月もたってから、紙の表面に色付斑点が浮き出てきて大きな品質トラブルになります。
発生場所としては、一般的には昇華転写紙を使用してアパレル・のぼり等に捺染(転写)する工場・事業所や昇華転写紙を製作する印刷関連事業所・工場、昇華転写紙を雑誌に使用して製本・出版する工場・事業所等やその周辺をあげることができます。
家庭からは、雑誌の付録に付いている「アイロンプリント」、「裁縫用の型紙」があります。


・感熱発泡紙(かんねつはっぽうし)

ベースとなる紙の上に感熱性発泡カプセルを塗布したものが感熱発泡紙で、これが製紙原料に混入すると原料処理段階であるパルパーで、原料を離解するときに発泡カプセルが紙料中に分散します。
この分散したカプセルは細かいため、原料処理工程のスクリーン等で分離することはできず、紙に抄きこまれ、抄紙機のドライヤーで乾燥中に加熱され紙層中で発泡スチロール状の樹脂となり紙面に凹凸がでます。
発生場所としては、感熱性発泡紙の製造工場・事務所、点字印刷所や盲学校など使用がはっきりしているところ及び一般家庭や事業所などとなっています。雑誌古紙に混入する場合が多く見られます。
また、立体コピーの製品使用例としては、つぎのようなものがあります。


・点字用コピー(特に年度替りに官庁からまとめて出ることがあります。)
・中吊りポスター
・寄せ書き、魚拓、手形
・バースデーカード
・ダイレクトメール
・飲食店のメニュー
・案内状、挨拶状
・カタログ、見本


・強い臭いのついた紙

臭いのついた紙や芳香紙の混入は、段ボール、雑がみ、回収雑誌に多く見られます。石鹸、化粧品、線香、蚊取り線香、芳香紙、薬品、香料などの強い臭い(匂い)がしみついた紙は、古紙処理工程で完全に脱臭することができないため、製品となった紙に異臭が残り、不良品となります。とくに、飲料や食品を入れる段ボール箱・紙箱に臭いがついていると、商品に臭いが移ってしまい、風味を損ねるなどのトラブルになります。


日頃営業所で選り分けられる禁忌品の量は、営業所の所在する場所によって異なりますが、当社のA営業所では月間平均4トン程度という実績です。PPヒモ、洗剤の箱、金銀の紙、布張りの表紙等、様々な禁忌品が、毎日選り分けられています。

その中で私共にとって最も頭の痛いのが「捺染紙」「発砲感熱紙」の選別です。まとまって混入している分には比較的発見しやすいのですが、そうでない限りは非常に見分けずらいのが実情です。古紙を集めてくる回収人の方々および発生元への広報活動等、業界全体で混入防止を取り組んでいるところです。
禁忌品(きんきひん)との戦いは、毎日続いています。
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