古紙四方山話トップ > 世界の紙及び古紙事情 > 第56回 食べられる紙

第56回 食べられる紙

以前、中国の露天商が、段ボールを挽肉に混ぜて肉まんとして売っていたというニュースがありました。これは、段ボールを苛性ソーダで溶かして騙して食べさせたということですが、今回の話はそうではありません。他に食べ物がなくて仕方なく、というお話です。


以前ご紹介した紙の博物館編「紙のなんでも小事典」に「食べられる紙」と題して人間がその昔、紙を食べたという記録が紹介されています。


江戸時代後期、ペリーが浦賀に現れる少し前まで活躍した佐藤信淵(さとうのぶひろ) という学者が1827年に著した経済書『経済要録』の中で述べたものです。以下、引用します。
「天明の大飢饉のとき、家にたくさんあった古紙を水に浸け、よく蒸した上でほぐし、少しの糖と混ぜて餅として食べた。非常にうまかったので近所の人にも勧め、ついには村の寺にある大般若経や一切経をことごとく食べ尽くしてしまった。しかしそのお陰で、村の住人600-700人が生き延びることができたそうです。」


天明の大飢饉とは1782年-1788年にかけておきた飢饉で岩木山と浅間山が噴火し冷害となり、主に東日本に甚大な被害を与えた日本の近世史上最大の飢饉といわれています。餓死者が記録にあるだけで数万人以上出たと言われる大飢饉でした。


この古紙を食べて生き延びたという話は、現代の私たちには想像もつかない壮絶な話です。ところが、現代でも紙そのものではありませんが、「粉末セルロース」とよばれる植物繊維から作られる微粉末が日常的に食品添加物等として利用されています。
しかも、植物の食物繊維は体内で発ガン物質などの有害物質を吸収して排泄させる大切な働きがあることがわかってきて、ダイエット効果などと併せてこの「粉末セルロース」は注目されているようです。


ついでに、粉薬を包んで飲みやすくしたりするのに使われるオブラートは「食べられる紙」ではありません。これは馬鈴薯デンプンを煮て、ローラー上で延ばしながら焼いたフィルムだそうです。
comment closed:
このアイテムは閉鎖されました。このアイテムへのコメントの追加、投票はできません。

古紙四方山話トップ > 世界の紙及び古紙事情 > 第56回 食べられる紙

四方山話を探す
Feeds

Page Top