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第57回 紙の消費減少

 古紙問屋の立場からみると古紙は商品そのものです。その商品の発生が最近ジワジワと減っています。2009年、古紙回収率は79.7%と過去最高を記録しましたが、古紙回収量は21.6百万トンと回収量が最高だった2007年23.3百万トンを7.2%下回り、2004年(21.5百万トン)のレベルまで下がりました。


 古紙の回収量は、国内で消費される紙の量、つまり、紙板紙の内需の影響を受けます。その国内の紙板紙需要は2007年(31.9百万トン)から下がり始め、世界同時不況の大波を受けた2008年から2009年にかけて大きく落ち込み、その流れがとまらず今日まできています。
日本製紙連合会がこの1月に纏めた2010年紙板紙内需試算を見ても27.6百万トンと2009年から微減の予想です。
品種ごとの傾向をみると紙では新聞用紙と印刷情報用紙が2007年から減少傾向が続いてとまりません。新聞と出版に何が起こっているのでしょうか。


 この一年間の需要動向について、特に、新聞・出版に関係する本・雑誌が立て続けに出版されています。その中で本稿に関わるところをご紹介します。


「新聞・TVが消える日」猪熊建夫著 集英社新書(2009年2月)
・著者は、今日の電子メールやブログの隆盛から、若者や青年を「活字離れ」「文字離れ」と決めつけるのはやめたほうがいいとし、新聞、本、雑誌からの「紙離れ」が正解としている。

  
「2011年 新聞・テレビ消滅」佐々木俊尚著 文春新書(2009年7月)
・著者が、2008年からアメリカで始まった新聞業界の地滑り的な崩壊は、3年遅れの2011年、日本でも起きる、と予言。その崩壊とは、米国の新聞業界が得ていた年間160億ドル(1.4兆円)の広告費が2004年からものすごい勢いでインターネットの無料広告に浸食されてきており、この無料広告が米国の新聞業界を破滅に追いやろうとしている、と指摘。

「次に来るメディアは何か」河内孝著 ちくま新書(2010年1月)
・著者は、「新聞界はテレビとともに再編成される。そのスタートはデジタル化が終了する2011年秋」とし、「それが進む際に新聞企業は限りなくペーパーレス化せざるを得ない。」と断言する。どうしても紙で読みたい読者には電子端末(テレビ、PC,キンドルなど)から記事別にプリントアウトしてもらう必要がある、と予想。


尚、これら3冊の著者にはいずれも元新聞記者という肩書がありました。


「紙の本が亡びるとき?」前田塁著 青土社(2010年1月)
・この本では電子化されてペーパーレスの時代を迎える文学の未来について語られている。筆者は「紙の書籍が遠くない未来、これまで果たしてきた役割を終える。」とし、電子化された未来での「文学」の可能性について考察している。


「新聞・テレビ 断末魔」週刊東洋経済 2010年2月20日号
・経営環境が厳しい新聞社の実態を捉えて、更に新聞の発行部数が急減している様を詳述している。新聞は生き残れるのか、様々な業界の取組みを紹介。
部数減には歯止めがまだ掛かっていないことをにおわせている。


 このように、新聞も出版も、電子媒体による閲覧を前提とする事業展開が強く求められる時代になってきました。


 因みに、文春新書は最近刊行の新書(819円(税込))まるごとをホームページからダウンロードしても読める体制を試みています。
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166607235


 老眼を必要とする筆者のような世代になると、パソコンで会社の仕事をして、更に240頁の新書を液晶で見るというのにはいまだに抵抗がありますが、一方では全く抵抗のない世代がこのような形を歓迎する時代になってきたのでしょう。



注記: 内需量=国内出荷量+輸入量+流通在庫量の前年比増減量
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