古紙四方山話トップ > 世界の紙及び古紙事情 > 第60回 ドイツの容器包装リサイクル

第60回 ドイツの容器包装リサイクル

 ドイツの2008年一人当たりの紙の消費量は247kgと、日本(241kg)を若干上回る紙消費国です。そのドイツでは日本も手本(「廃棄物処理法」1993年)にした容器包装リサイクルシステムが出来上がっています。今回はそのドイツのリサイクルの仕組みをご紹介しましょう。


 高度成長期のドイツはゴミ回収が地方自治体に丸投げされ、どこの都市でも大量のゴミの山とその処分場に苦慮してきました。この問題解決のためにドイツは「包装廃棄物の発生抑止に関する政令」(1991年)を制定し、法的拘束力を持つ包装容器の回収システムをつくりだしました。この政令については、製造者の回収責任を明示したことが決定的に重要でした。企業側でも、エコロジーを無視しては経済活動ができない時代になったことを認識するようになってきました。

 製造業者は包装容器を回収する義務を負いましたが、業者みずから回収業務を行うのではなく、それを代行するDSD社という会社を設立しました。
 DSD社はデュアルシステム・ドイチュランド社(Duales System Deutschland AG、)という会社の略称で、メーカーや販売店の回収、分別、再利用義務を代行するために1990年に包装材に関連する業者が共同で設立されました。デュアル(二元)という言葉には、自治体が行う廃棄物処分とは別に二つ目の措置があることを意味します。即ち、包装材のリサイクルは企業(DSD社が代行)、「ゴミの最終処分」(埋立、焼却)は自治体が責任を負うという意味です。


 DSD社は製造業者から商標の使用に関してライセンス料をもらい、ゴミ回収、分別、リサイクルを行います。(実際に回収するのはDSD社から委託された業者です。)扱う包装容器には「グリーンマーク」(グリュネ・プンクト)というラベル(商標)を付けており、このゴミは無料で引き取ります。


グリーンマーク(商標)


 他方、地方自治体のゴミ回収ルートがあり、「グリーンマーク」の付いていない製品は有料であり、地方自治体のゴミ回収ルートで処分してもらわなければなりません。
 従って、ユーザーは、自然と無料の「グリーンマーク」付きの製品を買い、製造業者も潤うという仕組みです。


 2000年からDSD社独占の弊害が改善され、新規のラントベル社、インテーゼロ社、エコ・プンクト社が参入しました。現在、各社が競争して回収、分別を行い、ゴミ全体の減少に寄与しています。
 なお、新聞・雑誌も紙の包装材と同様に扱われて回収されています。

さらに、ペットボトルの容器のリサイクル率をあげるために2003年から強制デポジット制を導入しました。これは販売業者がペットボトルにあらかじめ容器代金を上乗せし、返却時にそれを支払う仕組みです。手間はかかりますが、リサイクル率は飛躍的に向上したようです。
筆者は先日訪問したドイツのスーパーでミネラルウオーターを買いました。返却する時間がなかったので、ホテルのチェックアウト時、ベッドの枕元に、小額のチップと一緒に2本のからのペットボトルを置いておきました。メイドさんのチップの足しになったはずです。こうした措置のおかげでペットボトルのリサイクル率は高まり、現在は92%と言われています。
 また、家庭ゴミは2005年には60%、産業ゴミでは65%が再利用可能となり、電気製品に関してはリサイクル率90%に達しているとのことです。



参考文献:「最新ドイツ事情を知るための50章」浜本隆志・柳原初樹著、明石書店
comment closed:
このアイテムは閉鎖されました。このアイテムへのコメントの追加、投票はできません。

古紙四方山話トップ > 世界の紙及び古紙事情 > 第60回 ドイツの容器包装リサイクル

四方山話を探す
Feeds

Page Top